私自身、5か月ぶりにサファーフェストのパフォーマンスチェック用プログラム『4DP Fitness Test』を実施した(4DPについて詳しくはこちらをご覧ください)。
これにより
- 数秒のスプリント力を示すNM,
- 1分間持続できる無酸素運動パワーの最大値を示すAC,
- 5分間持続できる最大有酸素運動(VO2MAX)パワーの最大値を示すMAP
- 20分間持続できる乳酸閾値パワーを示すFTP
の4項目が測定される。
5か月前と比べて全ての項目で大幅な上昇を果たすことが出来た。
結果に対してトレーニング内容を分析し、自身の今後のトレーニング方針の参考にするだけでなく、少しでも当店会員のパフォーマンスアップに役立てる事をめざしてレポートを作成してみた。
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4DPテスト結果


体重
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NM (5sec Avg)
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AC (1min Avg)
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MAP (5min Avg)
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FTP (20min Avg)
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Aug 18
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68kg
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998W (+131W)
14.68W/kg (+15.1%)
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444w (+41w)
6.53w/kg (10.2%)
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351w (+23w)
5.16w/kg (+7.0%)
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287w (+20w)
4.22w/kg (+7.5%)
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Mar 10
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67kg
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867W (+35W)
12.94W/kg (+4.3%)
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403w (-10w)
6.01w/kg (-2.4%)
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328w (+6w)
4.9w/kg (+1.9%)
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267w (+6w)
3.99w/kg (+2.3%)
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Oct 20 ’17
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67kg
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832W
12.42W/kg
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413W
6.16W/kg
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322w
4.81w/kg
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261w
3.90w/kg
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持続時間による平均パワーウエイトレシオの期間中最大値をプロットし、それによりアスリートレベルを判定するグラフ(WKO4+利用)
4DP2 がOct’17からMar’18の、4DP3がMar’18からAug’18の期間のデータ。点線は実測値(MMP)、実線は実測からの推測値(PD Curve)。

(解説)
- 直近の8月18日のテストでは5か月前に実施した値を大きく更新できた。
- 体重が1㎏増えたがウエイトレシオでもパワーアップを果た。
- 3月に実施した同テストではその前の去年10月に実施した結果からあまり上昇せず下がった項目もあったが今回は良い結果が出た。理由は理解しておく必要があると感じた。
- アスリートレベルグラフから10秒から2分の値が低く、直近でも伸びていない事が分かった。4DPのテストではチェックしないエリア。10秒以下、2分以上はともにアスリートレベルが1ランク近く上がっている。
なお、自分の実車にはパワーメータが付いておらず、今回のパワーデータは全てワットバイクでのインドアトレーニングによるものである事を予めお断りしておく。
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トレーニング量
1回目と2回目のテストの間と2回目と3回目のテストの間の総走行時間、距離、TSS(トレーニング強度を示す指数)の表(TrainingPeaks WKO4+利用)
期間
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時間
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走行距離
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TSS
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3/10’18 – 8/18’18
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179:27:34
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4,586km
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10,824
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10/20’17 – 3/10’18
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169:32:36
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4,251km
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9,704
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今年に入ってからの月別の走行距離グラフ(Strava利用。各月内の棒グラフは1日にで走った距離。一番長いもので170㎞ぐらい)
Oct’17からMar’18のライド中のパワー分布が下の緑の棒グラフ、Mar’18からAug’18のが上の黄色の棒グラフ(上下で1メモリずれているのに注意)

(解説)
- テストとテストの間の全期間のトレーニング時間、距離 だけの比較ではあまり大きな違いはなかった。(このデータは実走のデータが含まれる)
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ライドの時間について月ごとに見直してみると2月から4月は月1000km以上乗っていて特に多かったことが分かる。8月前にはそこまで乗り込んでいなかったのに高いフィットネス値が出たのはなぜかという疑問が生まれた。
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これだけでは何をやっていたのかまでは分からないが走行距離の長い所は実走、極端に短い所はジテ通、それ以外はほぼインドアトレーニングと考えて良い。インドアトレーニングはサファーフェストのインターバルトレーニングを中心に90分から3時間の長時間一定ペース走をするためにZWIFTのレース、ワークアウトもやった。
- 3月前は200W~250Wでのライド比率が多く、それ以降は260W~320Wの比率が多かった。持続時間は短いが高い強度のトレーニングは3月以降の方が多かったとう事になる。
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時系列の運動強度についての分析
持続時間5秒、60秒、5分、20分、60分間の運動をしていた際に記録したパワー平均値の最大値を週ごとに集計しプロットしたグラフを下に示す(TrainingPeaks WKO4+利用)。

(解説)
- 黄色の線は1時間の平均パワーを示しているが線が無い所は200W以上のパワーを1時間以上持続する運動はしなかったという事。
- 時系列が進むにつれ全体的にパワー値が上がるトレンドになっている。週によっては意図的に高い負荷のトレーニングをしなかったりするので全体のトレンドで見る必要がある。
- 去年10月の4DPテストの所で出したパワーは18年になってからは日常のトレーニング中に定常的に出すようになり20分についてはそれ以上を出し続け、4月25日の週には全ての値が最大になっている。
- 3月10日のテストは3/5の週に行われたが、20分についてはその次々週で大きく上回る値を記録していた。
- さらに4月23日の週には20分平均300Wを超えていた。
- これはZWIFTのレースに参加したときに出た値。やはりレースになると限界ぎりぎりのパワーを絞り出すことができるものだ。
- 8月18日のテストで20分走287Wだったのはすごく良い結果だと思ったがこのグラフより実はこの時間のパワーは4月末がベストだった事が判明。
- 上のトレーニング量が多かった期間の効果がここで現れていたという事で疑問が晴れた。
- さらにグラフから分かる通り年明けから4月末過ぎまで高い20分の平均パワーでトレーニングを継続しており、1時間以上平均200Wを大きく超えるトレーニングに多く取り組んでいた。
- 単にトレーニング量が多いだけでなくトレーニング強度も高かったという事が分かった。
- 6月中旬以降のトレーニングでは20分の平均パワーが低下し、1時間以上200W以上を継続するトレーニングも減っていた。
- FTPをさらに上げるためにはもっと20分から1時間持続するトレーニングを増やしていく必要があることが分かった。
- 一方、5分のトレーニング強度はそこそこ高い値で継続していたために8月のテストでは伸ばすことが出来たようだ。
- FTPとMAPは連携していると言われていてMAPとFTPとの差が無くなってくるとFTPの伸びしろが無いとも言われている。
- 4月23日の週のMAPの値はFTPにかなり近かったが、8月のテストではかなり上がったため頑張ればFTPをさらに伸ばしていけると期待できる。
- 1分より短いの運動持続時間のパワーも上がってきているがヒルクライムで結果を出したい私としてはもっとMAP,FTPを強化するトレーニングを増やしていこうと思う。
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体力、疲れの分析
体力を示すCTLと疲れ具合を示すTSBの時系列グラフ(TrainingPeaks WKO4+利用)。
(解説)
- 20分、1時間のパフォーマンスが高かった4月末はCTLがピークから落ちてきて79、TSBはかなりフレッシュな状態(+12)になっていた。
- 8月18日のテストの際はCTL64、TSB-11だったので身体をフレッシュにすればもう少しパワーを出せる可能性はあるが下がってきていたCTLがさらに下がってしまうためあまり大きな改善は期待できない。
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まとめ
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当たり前の話かもしれないがトレーニング量、トレーニング強度を上げることでパフォーマンスは上がった
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50歳近い私でもFTPを半年以内で5~10%上昇させることができた
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一度上がったパフォーマンスはトレーニング量が多少減っても4か月間で下がる値はさほど大きくなかった。しかし着実に落ちてきているのでキープする為には周期的に上げる期間を作る必要性を感じる
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さらにFTPを上げていくためには運動強度をぎりぎりまで上げ、高い強度を持続する時間も1時間を超えるトレーニングに取り組む必要があるがこれにはZWIFTのレースが最適だと感じた。
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インドアパワートレーニングを中心にすることでトレーニング時間、距離については短縮できる可能性があるかもしれないので今後の検証課題としたい。2時間を超えるロードレース、エンデューランスレース、アイアンマンのためには十分ではないと思われるがヒルクライムレース向けには効果が期待できる。
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NM,AC強度のトレーニングをすることでACで出来るパワーが上がるだけでなくMAPも引き上げられているように思える。筋力アップの効果も感じられた。FTPを上げたいのがメインでも定期的にNM,ACのトレーニングもやったほうが良いようだ。
- 体重とパワーの関係については検討課題としたいが、今回の中で20分、60分のパワーが最も高かった4月末は67㎏を下回っていた。体組成計を信じるならば体脂肪率が4月末は5.6%だったが8月は7.3%で筋肉重量ではほとんど変化していなかった。体脂肪率を下げて減量できれば60分以下のパワーは落ちない模様。ただ体脂肪が低くなりすぎると疲れやすいと感じたためロングライドでは良くない結果になる可能性が高い。
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5ヵ月でFTP7%上昇!