ペダルズアップにTraining Peaks(以降TPとする)のWKO4というアスリートのパフォーマンス分析ツールを導入しましたが、TPではこれを使ってどの様にコーチングすれば良いのか豊富な情報を提供してくれています。
まだまだ勉強し始めたばかりなのですが、とりあえず皆さんの興味をいただけそうな
「良いクライマーになるための分析」
という投稿記事(原文は下記LINK先ご参照ください)を読み、自分なりにペダルズアップでのトレーニングにどう取り入れていけばいいのか考察を加えながら記事を作ってみましたのでご参照いただければ幸いです。
平坦と同じパワーで走っているのになぜ坂道の方がきつく感じるのか
一般的にパワーウエイトレシオが高いほど登りに強いと言われています。勿論これは間違いではなく体重を増やさずパワーを上げることがトレーニングにおける主目標となります。しかし坂道とフラットな場合でペダルフォースにより体の反応が異なってくるので、それらの違いに対する分析を行い強化トレーニングの方針を決めていくのは有効といえます。
我々は同じパワーを出している時でもフラットな条件と勾配のついた坂の場合できつさに違いを感じます。これは勾配のついた坂では重力によって下に戻される力が働くためより同じパワーを出すためにはペダルフォース(踏む力)を強くする必要があるからだと考えられます。
パワーは主にケーデンスとペダルフォースで決まってきます。勾配が高くなってきてギアを使い切ってしまうとフラットと同じペダルフォースで同じケーデンスを維持できなくります。そこで皆さんはペダルフォースを上げてパワーを維持しようとするでしょう。
一方、同じパワーを出している時でもペダルフォースが異なる場合はそのパワーを持続できる時間が変わってくることがあります。これは勾配によってFTPが変化することを意味します。
下のチャートはとあるアスリートの勾配別のPDCをプロットしたものです。ご覧いただく様に勾配によって数値が変わっております。
とあるアスリートのPDCチャート (勾配別のデータが示されています)

実走からのフィードバックによるトレーニング負荷の設定方法
WKO4を使えば過去の走行データからある勾配によっていつもどのぐらいのケーデンスを出しているのかを調べることもできます。これに基づき強化したい勾配時のときと同じケーデンスで継続できる最大の負荷強度を調べれば現状の把握ができます。これはペダルズアップで提供しているサファーレベル(主観的強度)、パワー、ケーデンスのマトリックスチャートから判断することができます。
パワーメータのついたバイクを持っている方の場合はWKO4によりケーデンス、勾配、PDCの関係を調べることができます。これより目的とする勾配でよく使っているケーデンスの時に目的時間継続できているパワーになる様に負荷強度を設定すれば勾配条件をシミュレーションしたトレーニングができます。
フィットネスレベルの向上により継続できるペダルフォースが上昇し、同じマシン負荷設定でもケーデンスが上げられる様になればパワーが上昇するでしょう。高いケーデンスで走ることができれば脚への負担が軽減できる効果も期待できるため成績アップの可能性も上がります。ただしケーデンスをあげて同じパワーをキープすることで心肺がきつくなることがあるので、心肺能力の向上のためのトレーニングも必要です。心肺がきつくて目標時間をキープできない場合はケーデンスは上げないほうが良い結果をもたらす場合もあり得るので注意が必要です。
ヒルクライムなどでは一番軽いラストギアを使うことが多く、その条件でどの勾配でどのぐらいのケーデンスを出せているのかを把握しておけば、トレーニング中のマシン負荷を下げすぎて現実には不可能な高いケーデンスでのトレーニングを避けることができるでしょう。
また勾配とケーデンスによりPDCがどの様に変わるのかを解析することで勾配別に得意なケーデンスを把握することもでき、ギアが余っている場合に上げたほうがいいのがいいのか下げたほうがいいのか判断することができます。
レースでの活かし方
WKO4を使えば勾配別のPDC(あるパワーどれだけの時間継続できるかをプロットしたチャート)を分析することで目標とするイベントで重要なポイントの勾配でのPDCがどうなのかを把握できます。これにより強化すべき点を見つけトレーニング内容を決めていくことで良い結果を目指すことができます。
またレース中においては自分のPDCを認識していることでどの勾配、どの強度でどのぐらい継続できるかを把握していることで無理なペースになって後半に足が売り切れてしまうことがない様にペース調整ができる様なります。これはレース中に勾配を見ながら判断するのが困難なため事前にコースを把握して戦略を練っておくのが現実的と言えます。
ペダルズアップではTPのWKO4が導入されたPCを設置してあります。会員の方は自分のTPアカウントを持っていれば月1,000円でWKO4のデータを見ることができます。また今後月1回実施予定のTPの活用方法のセミナーに参加していただくことができます(詳細日程について今後発表します)。
Training Peaksでクライマーを分析し強化する